"生成AIファースト"を起点に変革するセブン&アイのSNS運用
~属人化からの脱却と業務効率化、ChatAI実践的活用術~
コンビニエンスストアを中心としたグループ事業各社の企画・管理・運営をする『株式会社セブン&アイ・ホールディングス』(以下、セブン&アイ・ホールディングス)。2030年に目指すグループ像として『セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する、「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループ』を掲げ推進している。
ここでは、同社の広報センターがSNS業務で生成AIを活用する取り組みとして、『ユーザーローカル ChatAI』(以下、ChatAI)の利用方法を紹介します。

広報センター オフィサー
和田知也 氏
導入背景
属人化と非効率からの脱却、"生成AIファースト"で変革するSNS運用
セブン&アイ・ホールディングスでは既存・新規業務を行う際に、まず「生成AI」を使ってみたらどうなるかを考える『生成AIファースト』を合言葉にしている。生成AIを使うことでDXが加速するためである。セブン&アイ・ホールディングス 広報センターの和田氏は「DX本部主催の研修においてBPR活動に取り組み、SNSチームの業務プロセスや組織の根本的な見直しを行っているなかで、『SNSの投稿プロセスで多くの時間がかかっている』『分析などが属人化してしまっている』ことが課題として見えてきました。その課題に対して生成AIを使って解決ができないかと考え、ChatAIを導入しました。」と説明する。

広報センター オフィサー
和田知也 氏
活用方法
投稿文作成・リスクチェック・データ分析まで
SNS運用の属人化を解消するChatAIの実践的活用法
同社の公式SNSアカウントでは、決算情報やニュースリリース、サステナビリティの取り組みなどグループ全体の幅広い情報を発信している。投稿文を作成するにあたり、グループ会社のホームページや資料などからSNSで発信するネタを探し、親近感や分かりやすさを目的にモーメントやクイズ形式にて発信を行うこともあり、これまでは膨大な時間をかけていたという。
そこで、資料からSNS投稿文の草案を生み出すプロンプトを作成した。ChatAIの自社データ連携機能を使うと、リリースやグループ情報をアップロードするだけで、クイズ形式の投稿文作成が可能だ。資料は複数アップロードでき、そのなかでも関連する資料のみを選択して、草案を作成することができる。「プロンプトは役割、条件の指定が肝要です。その上で、クイズの難易度なども指定するため、こちらが意図する企画となっているかの最終チェックは行いますが、クイズ投稿においてはクオリティ面でも十分に実用が可能なレベルです」(和田氏)


Xで「セブン&アイクイズ」という企画を実施します。
添付の資料をもとに、以下条件で企画を考えてください。
・参加者が思わず参加したくなる、セブン&アイについて詳しくなれるクイズにしたいです
・問題は5個考えてください
・問題の正答率は50%を下回る難易度で設定し、参加者にやりごたえを感じさせてください
・問題は全角140字以内にしてください
・選択肢は3択~4択にしてください
・回答も用意してください
・回答はできるだけ正確な内容にし、ソースが分かれば記載して欲しいです
・各問題を選定した理由や意図も記載し、その狙いが参加者に伝わるようにしてください
過去の投稿を添付
また、作成した投稿文のチェックにも、ChatAIを活用している。「弊社ではSNS投稿において約600のリスクワード、約300の表記ルールを設定しているため、投稿文を確定させるために目視の確認だけでも多くの時間を要します。また、投稿内容に問題がないか人によるチェックでは判断に差が出ることがあるため複数人でのチェックが必要です。こうした膨大なリストを使ったチェックをしたり、多角的な視点でのリスク把握が必要な際、細やかなチェックリストを盛り込んだプロンプトは非常に有効です。ただ、プロンプトは1度作って完成ではなく、リスクは日々変化しますし、法律やルールも変わるので、そのたびにブラッシュアップしていくことが大切です」(和田氏)

ChatAIの活用としては、投稿文の作成・確認にとどまらず、SNS上のクチコミ分析や、自社SNSアカウントの運用データの振り返りにも活用している。セブン&アイ・ホールディングスでは、当社が提供するSNS分析ツール「Social Insight」を導入している。そこから得た各投稿への反応等のデータから、次のアクションの方向性をChatAIに思考させることで、SNS担当を初めて担う場合でも、客観的なデータの洗い出しが可能となり、データ分析の参考として大いに活用している。


効果・成果
リスクチェック業務では約70%の時間削減
ルーティン業務の効率化、属人化からの脱却に大きな手応え
ChatAIの活用によって、SNS運用のなかで課題としていたルーティン業務の効率化、属人化の解消で大きな成果を出している。「投稿のアイデア出しやクイズ形式の投稿案の作成、リリース情報の要約で時間削減が可能になりました。特にリスクチェック業務では、活用前に比べておよそ70%の時間削減を実現しています。また、ChatAIは誰でも簡単に扱うことができるので、これまで属人化していたデータ分析業務などを担当者個人に依存することなく、SNS業務未経験者でも質の高い分析を行えるようになりました」と和田氏は語る。

加えて、SNS上のリスク把握にもChatAIの活用を試みているという。これまでは、同社で定めている重要リスク指標に準じてリスクの判定を実施しており、SNS上の投稿内容を抽出し、目視でどういったリスクの内容があるかチェックし、リスク事象の把握に努めてきた。ただ、リスクの判断も人によって捉え方が異なるため難しく、複数人でのチェックを行う必要があり、人員・時間・工数を要していた。そこで、過去の判定結果と判定対象の投稿一覧といったデータをChatAIに連携。表形式で調査対象の投稿のリスク判定結果が提示され、それを判断材料に活用している。「日本語特有のあいまいな表現を察知できないなど、精度を向上させる改良の余地がまだまだあると感じています」と和田氏は語るが、現在では8割程度は人による判定と同じ結果を得ることができているという。
「大きな手応えを感じつつ、生成AIはあくまでも補助ツールとして捉えています。生成AIが出した回答を鵜呑みにするのではなく、最後は人の判断と手を加えることで、さらに精度と品質の高い業務へとつなげることができると考えています」という和田氏。今後については、「SNSは直接ユーザーに自社の想いを発信できる貴重な場。ChatAIを活用することで効率性を高めつつ、最後は人が介入することで、クオリティが高くて正しい情報を届けていきたいと考えています」と語った。
利用申し込み
- 同業企業様、学生の方のお申し込みはご遠慮いただいております。
- 法人アドレスでお申し込みください。(フリーアドレスでのお申し込み不可)
- 弊社担当より製品説明会や勉強会などのご案内の連絡をさせていただくことがあります。
- ご記入いただいた情報につきましては、カタログ資料の送付や弊社からのご連絡の目的以外に利用することはありません。プライバシーポリシー
- このサイトはGoogle reCAPTCHAによって保護されています。
プライバシーポリシー ・ 利用規約