迅速な全社導入を優先
現場でのChatAI活用から見えた問題点と成果
総合建設コンサルタントとして、社会に必要なインフラを整備するための調査・計画・設計まで一貫したサービスを提供する「大日本ダイヤコンサルタント株式会社」(以下、大日本ダイヤコンサルタント)では、「ヒト中心で考えるDX」(人材育成・組織力強化)、「国土を守るDX」(研究・技術開発)、「品質と安全を追求するDX」(効率化・省力化)と3つの柱でDXを推進しており、生成AIの社内活用も早くから視野に入れていた。検討を重ねた結果、全社の生成AI基盤ツールとして選ばれたのは、「ユーザーローカル ChatAI」(以下、ChatAI)。ここでは、ChatAIの導入を推進した情報システム部IT企画推進室主任の金子氏のお話を中心に、導入の背景から活用の手応えなどを伺っていく。
導入背景
信頼性の高いセキュリティ、低コスト、スピーディーな開発
これらが決め手となり、ChatAIの導入を決定
ChatGPTの登場とともに生成AIが話題になる中で、「生成AIを使いこなせないと企業として後れを取ることになる」という議論をきっかけに、2023年5月頃から社員個人がそれぞれに契約しChatGPTの社内活用を試みた。しかしすぐに、ユーザーごとにオプトアウトの設定が必要なことや社内の利用状況の管理など、セキュリティ面での課題が浮き彫りになったという。そこで、会社として安心して生成AIが使えるツールのリサーチを始めた。
「セキュリティ面に重きを置く中で、技術的な点だけでなく、ツールを提供する会社としての実績や事例があるかなどの信頼性は非常に重要な点でした。そういった中でユーザーローカル社は、上場企業であり、官公庁や大企業との取引実績も豊富だったのは安心材料になりました」と導入当初の議論を振り返るのは長岡氏だ。
また、信頼できるセキュリティ面に加えて導入の決め手となったのは「費用面と機能面がとても優れていた点」と語るのは金子氏。「費用面では、まず導入費用とランニングコストが安価。その上で文字数に対する従量課金が無い点も大きな魅力でした。従量課金制の場合、実際に導入後にどの程度使われるかわからないため、予算組みなどがしにくいですが、ChatAIは従量課金が無いので、安心感が大きかったです。また機能面においては、自社データと安全に連携できるRAG(Retrieval-Augmented Generation、検索による拡張生成)の利用が可能な点と、ユーザー管理できる分析ダッシュボード(管理画面)の使いやすさはChatAI導入の大きな決め手となりました」という。
「またこれは実際に使い始めてから身に染みたことですが、ユーザーローカル社は開発スピード、新機能の実装が凄く早く、生成AIの最新モデルへの対応も迅速で快適に利用できています」と現在の使用感とともに語る。
トライアル期間で手ごたえを感じたうえで、2024年1月よりChatAIの運用をスタート。まずは本社社員と利用希望者から先行して約100名をピックアップ。社内ルールと一般的なユースケース(プロンプトの使用方法、文章の校正や添削、議事録の要約など)を共有の上で“まずは使ってみること”から始めて、活用方法などのナレッジを蓄積しながらマニュアルを作成、2024年3月に全社展開を開始した。
導入の際に意識したことは?と尋ねると「スピーディーに導入をする点を特に意識しました。たとえば、このような新しいツールを導入するには、本来であれば事前に使い方を定め、各部署への説明を経た上で全社導入するのが一般的かもしれません。ただそのような対応をしていると、非常に時間がかかってしまったり、現場の繁忙期と被って導入が後回しになってしまうなどの問題があります。今回は社内での利用方法などを早く検証したいという意図もありましたので、最低限のルールを整備しつつまずは先に導入をして、後から利用方法を説明するという逆の形をとりました。生成AIのような新しい技術はスピード感や柔軟な対応が非常に重要だと思います」と、導入当初を振り返る。
トライアル提供の継続や条件は変更されることがありますのでご了承ください
運用・活用方法
現場社員との意見交換会で、リアルな声をキャッチアップ
管理画面で利用情報を元に支社や部署にあったフォローをしながら全社展開
大日本ダイヤコンサルタントでは全社展開をするにあたり、各部署や支社に対して、オンライン・オフラインの勉強会を実施し、基本的な使い方や操作方法、社員からの意見を集めるための意見交換会を実施した。
金子氏によれば、「弊社では全社員のうち7割ほどがエンジニアです。全社展開時には、本社社員に加えて、現場のエンジニアがどのように活用できるのか、どう使いたいか、といった生の声を吸い上げるため、現場のエンジニアから意見をもらう意見交換会を実施しました。意見交換会の中では、たとえば提案書作成時に、自分の考えた提案内容が先方の要望に対して網羅できているかどうかを確認するために使いたいという声や、提案書作成段階時のアイディア出しや方向性を生成AIに考えさせたいなど、現場で使えそうな様々なユースケースを見つけることができました」という。
こうした意見交換時には、管理画面の会話履歴が役立った。「社内の利用状況や実際に使っているプロンプトの傾向をたどることで、現状のリテラシーなどを事前に把握できるので、それぞれの支社や部門にあったフォローやコミュニケーションを取ることができました」と金子氏。
ヒアリングでキャッチアップした活用方法をはじめ、多く利用されている活用事例、新たに実装された新機能などの情報は、社内ポータルサイトにてキャプチャ画像とともに紹介。こうした実用例を盛り込んだ周知活動を行うことで、ChatAIの社内活用は広がりを見せているという。
その他にも、文章校正や議事録の要約といった一般的な活用に加えて、ドキュメント検索機能は経費などの申請関連といった欲しい情報を探す際の効率化に役立てている。「就業規則などの社内ファイルを連携しておくことで、必要な情報の明示箇所を詳細に教えてくれるので、それまでのわずらわしさは軽減しています」と下荒神氏。
効果・成果
アクティブユーザーは増え続け、「ChatAIが無くなると困る」という声も
今後は自社データ連携(RAG)でより独自の利用を進める
全社的なChatAIの活用を広めつつ、エンジニアが活用できる専門特化したユースケースも深めながら全社的に広めている大日本ダイヤコンサルタントでは、導入から半年ほどだが、積極的に活用する社員も増え、現在では利用者の15%がアクティブユーザーだという。
金子氏は「導入から半年ほどですが、アクティブユーザーは増加傾向です。たとえば、エンジニアはコード生成などでもよく利用していますが、ChatAIが無くなると困るという声も出てきています。他にも若手エンジニアの中には、技術的な疑問を抱いた時に、先輩エンジニアに質問をするのと同じような感覚でChatAI相談しはじめています。今後は管理画面から把握できる会話履歴などでフィードバックをしながら、より広く活用できるユースケースとして広めていけるのでは」とさらなるChatAI活用への期待を語る。
その上で「今以上に社内データの活用もポイントなると考えています」と語るのは多久和氏。「弊社のこれまでのコンサルティング実績や実例のデータとの連携し精度を高めることができれば、ChatAI上で的確な一次資料をもとにした、より幅広い活用方法があると感じています」と今後の展望を語った。
長岡氏は「社員間でChatAIを活用して作業効率化をするためには?という発想が具体的に出てきたり、エンジニアとの意見交換が広まったりしている部分は成果だと捉えています。今後は、さらに社内活用と意見交換を深めていく中で、生成AIでできることと、そうでないことをより明確にしながら、日常の業務を楽にしたり、エンジニアがより効果的に活用できるようなユースケースを増やしていきたいと考えています」と語った。
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