導入から半年で、コピーライティングやランディングページ構成といった業務時間の50%~80%削減を実現
ターゲット分析など販売戦略立案のアシスタント的な存在にも

日本初のテレビ通販として人気を博したことを機に1971年に創業した『株式会社DINOS CORPORATION』。創業以来、テレビショッピングのほか、カタログ通販など総合通販ブランドとしてショッピングの新たなスタイルを確立した。現在は“モノがたりで、くらし、たのしく。”をビジョンに、オンラインショップ『dinos』をはじめ、リテンションマーケティング事業、フラワーネット事業、家具レンタルサービス『flect』など幅広く展開している。

3万点もの商品を取り扱う同社では、仕入れ業務から市場調査、商品企画、プロモーションに至るまでをMD(マーチャンダイザー)が担っている。しかし近年ではEC市場の急拡大とともに業務負担増が大きな課題に。一方で、生成AIの急速な進化に伴い、波に乗り遅れることなく業務活用をしたいという社内認識も醸成されていたという。こうした背景から、生成AIをMD業務に活用すべく導入したのが「ユーザーローカル ChatAI」(以下、ChatAI)。導入時は、主にコピーライティング業務の効率化を目指していたが、現在では当初の想定を大きく超え、活用幅は多彩に拡大し続けている。ここでは、業務効率化を実現したChatAIの活用術についてお話を伺っていく。

株式会社DINOS CORPORATION
株式会社DINOS CORPORATION
商品戦略部 部長 黒河内 新哉 氏
商品戦略部 松尾 大輔氏

導入背景

EC戦略を加速させる生成AI活用へ
高い操作性と、従量課金が発生しないコストパフォーマンスからChatAIを導入

テレビ通販やカタログを中心に、およそ3万点もの商品を取り扱っている総合通販ブランド『dinos』。EC市場の急拡大とともにEC戦略を意識した業務フローへの変革が求められる中、2023年11月に“生成AIをコピーライティングに活用できないか”というアイデアが浮上した。黒河内氏は「生成AIは想像以上に精度が高く、すぐにテスト導入する運びとなり、1か月後には社内でデジタル技術へのリテラシーが高いメンバーを部門横断でスカウトして生成AI活用検討会を発足しました。すでに策定していた生成AI利用に関するガイドラインをベースに、利用規約やセキュリティといった注意点を社内で確認し、2024年2月にはテスト導入の運びとなりました」と導入の経緯を振り返る。

株式会社DINOS CORPORATION 商品戦略部 部長 黒河内 新哉 氏
株式会社DINOS CORPORATION 商品戦略部 部長 黒河内 新哉 氏

各社が展開する生成AIサービスを試す中で、決め手となったのは操作性と価格面。「ChatAIは管理画面の使いやすさに加えて、ドキュメント検索の性能が素晴らしいと感じました。他ツールでは、ファイル内の言葉と質問(プロンプト)の言葉が完全に一致しないと回答が得られませんでしたが、ChatAIは一致の幅が広いので、より柔軟に回答を得られます。ユーザーローカル社が長く培ってきた自然言語処理における技術の優位性を感じましたし、AI初心者に普及させたい弊社にとっては価値のあるポイントでしたね。さらに、弊社にとって魅力だったのはChat AIには従量課金が発生しないという点。テキストやプロンプトをどれだけ使用しても固定料金なので、部門を越えて誰もが気軽に活用できるというのは魅力的でした」とは黒河内氏。

株式会社DINOS CORPORATION 商品戦略部 松尾 大輔氏
株式会社DINOS CORPORATION 商品戦略部 松尾 大輔氏

当初は、コピーライティングへの活用をメインに想定していたそうだが「デモを通してさまざまな使い方ができることを知った」というのは松尾氏。「契約関連や、プロモーションのアイデア出し、戦略の分析など弊社の業務で使えるところはどんどん使っていこうと考え、AI初心者の活用ハードルを下げるべく、業務に落とし込んだ専用プロンプトを作成していきました。どれだけ使っても課金がない上に、操作性と出力精度も高い。実際に使用してみて、改めて大きな魅力だと感じました」という。現在では30を超える実用的なプロンプトを用意し、様々な業務で活用している。

テスト導入で確かな手ごたえを感じたことから、アカウントはMD(マーチャンダイザー)部門の全社員と、他部門でも希望者には付与する体制で、2024年4月にChatAIを全社導入した。

ChatAI導入後、様々な部署でChatAIを利用し、多くの活用事例を作り出している
ChatAI導入後、様々な部署でChatAIを利用し、多くの活用事例を作り出している

活用方法

商品の魅力発掘からコピー案、ページ構成案の作成まで 
販売戦略立案の初期段階でもChatAIが大活躍、業務効率3倍に

導入のきっかけともなった商品説明文、キャッチコピー作成にあたっては、従来は同社に150名ほどが所属しているMD(マーチャンダイザー)がおもに作成していたという。「MDひとりにつき多くの商品を抱えているうえ、テレビ通販、カタログ、ECと各チャネルのテイストに合わせたリライトも並行作業で行っており、時間と工数がかなりかかっていましたが、こうした業務の効率化に向けてChatAIを活用した業務プロセスへの移行を推進しました」(松尾氏)

DINOS CORPORATIONのPickupプロンプト
商品情報から商品説明文を作成するためのプロンプト
あなたは日本人です。職業は熟練の商品コピーライターです。
#依頼内容
理解した商品のメリット・機能性・魅力を伝えるために、通販サイトでの商品コピーを考えてください。
※分からないことは回答しないでください。
#通販サイト
(1)1,000文字以上、1,800文字以内。
コピペすれば通販サイトに掲載できるよう、お客様が読まれることを意識した表現を使ってください。
※景品表示法、薬事法に触れない表現を使う。
(2)段落ごとに、商品の魅力が伝わる丁寧な言葉遣いのキャッチコピーを考えてください。
(3)商品を使うことでもたらされる効果や成果を具体的に書いてください。
(4)販売実績などの数字データがある場合には根拠とともに記載してください。
(5)「〜だから必要ですよ」といったような、買う言い訳を作ってあげてください。
(6)商品が出来上がるまでのエピソードや、商品に込められた想いがある場合には書いてください。
(7)潜在的に抱えている悩みや不安を解消できると訴えてください。
(8)視点を変えたり、別の言い換えをして、商品の価値を高めてください。
(9)「〜していませんか?」や「まだ〜している方へ」など、商品を使わないと生活で損をすると思わせてください。

生成AIがライティングしたものから、MDが語尾や言い回しを微調整するだけでクオリティを担保した原稿が完成。誤字・脱字がなく購買に繋がる魅力の抽出も可能に。

「生成AIは膨大な情報からポイントごとに商品の魅力を列挙してくれるので、MDが気づいていなかった商品の魅力の気づきにもつながっていると思います。ChatAIを使えば商品の魅力を分類することが簡単で、より伝わりやすい文章化も可能に。そこで、カタログやWEBページのレイアウト(ページ構成)のアイデア出しにもChatAIを用いています」(松尾氏)。

文字情報メインのWEBページのレイアウトを、ビジュアル重視の商品紹介へとリッチ化。
商品のポイントをChat AIで抽出して分類することでレイアウト作成の効率化に。

こうした活用が社内に広がる中、商品の販売戦略にもChatAI活用を広げたという。「競合商品との比較・分析調査や、ペルソナ分析やターゲット別の訴求方法などを考える際、Chat AIに初期分析を任せられるのでは、と考えました。例えば、ターゲット別のアイデアを考案するとき、従来はMDがゼロからアイデアを作成していたところを、ChatAIを用いることで一気に複数パターン案を出すことができるようになりました。

考える下地がChatAIによって用意されるので、“調査や思考時間が3分の1になりました”、“精神的負担は8割減です”という声が社員から挙がっています。また、コピー作成や販売戦略立案の効率化が進むことで、これまで以上にアイデアを膨らませる時間の創出につながると感じています」とは松尾氏。

ペルソナ分析やターゲット別の訴求アイデアを立案する際も、ベースとなるデータをChat AIで生成。
商品情報はExcelでアップロードすることも可能で、まさにアシスタント的な活用方法といえる。

効果・成果

導入から半年で、MD部門のコンテンツ制作時間を最大80%削減
想定以上に活用幅が広がり、ChatAIで顧客満足度向上に向けた施策アイデアも

ChatAIをコピー作成、販売戦略など多岐にわたって活用をしている同社。その利用率は導入から半年で60%近くにのぼり、利用者の98%がChat AIの継続利用を希望しているという。さらに、利用者の部門別成果では、MD部門では商品コピー作成の作業時間が50%削減。 EC部門ではランディングページ構成の作業時間が70%削減。またマーケティング部門ではSNS投稿文章の作成時間が80%もの削減を実現したという。

部門横断でChatAIを活用し、法務部門での契約書作成などの業務軽減や人事部門でも
ChatAIの導入によって大きな成果が出ている。

中でも、コールセンター部門では、商品のQ&A作成における作業時間が激減。松尾氏によれば「多い時には月に数万件というお問い合わせをいただく中で、カスタマー担当はご返答をすることで精一杯の状況で、Q&Aを作成し商品紹介ページへ掲載する作業は負担が大きく追いついていない状況」だったという。

こうした中、お問い合わせ内容をChatAIでQ&A形式に構造化し、膨大な時間がかかるQ&A作成・掲載作業がわずか15分ほどで300件近く対応可能になった。

「当初、想定していた以上の活用幅があり、導入から半年ほどで大きな成果も出すことができて、Chat AIの導入には大きな手ごたえを感じています」という黒河内氏は「新たな機能がどんどんアップデートされるのもChatAIの魅力です。2024年10月からは推論モデル『o1-preview』、画像生成モデル『Imagen3』が搭載されるなど、弊社ではさらに幅広い活用が期待されています。成果を上げている使い方やこうした新機能の周知を進めて、さらに社内での利用促進を図っていきたいと考えています」と展望を見据える。

松尾氏は「今後はお客様が“目当ての商品を見つけづらい”というオンラインショップの課題を生成AIの力で解決できないか、と考えています。実際の店舗と違い、ECではお客さまご自身が商品を理解して購入を判断するうえで、パーソナルにお客さまの購買ニーズを汲み取り、商品がもっているストーリーも含めてご提案ができれば、お客さまそれぞれのライフストーリーに即したインタラクティブなショッピング体験が楽しんでいただけるのではと感じています」と、顧客満足度向上につなげる施策アイデアもすでに模索していた。

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