社内で生成AIを進めていく中で、ChatAIの導入は一丁目一番地
導入後は業務時間が30〜50%程度削減できる有効的な使い方も見つかり、今では業務に無くてはならない “ビジネスパートナー”のような存在に
国内有数の総合建設コンサルタント会社『株式会社エイト日本技術開発』は、1955年に創業以来、良好な地域環境の向上、国土の保全、行政支援をはじめとした地域のインフラ整備を、高度な専門知識と優れた技術で提供し続けてきた。そのフィールドは道路、河川・港湾、都市計画・地域再生と幅広く、災害リスク軽減と最適なソリューション提供をはじめ耐震・防災、資源循環、地質や地盤などの各種調査、測量など複合的な事業領域でマネジメントを国内外で展開。社会や環境の変化を見極め、多様で高度なニーズに的確にこたえることのできる“真のインフラ・ソリューション・コンサルタント企業”を掲げている。
2022年にはデジタルトランスフォーメーションプロジェクトを立ち上げ、業務データの可視化、分析をはじめ、さらなる効果的なデータ活用といった業務の高度化、業務効率化に取り組んでいる当社。DX推進の一翼を担う技術本部では、生成AIにもいち早く着目し、2023年に「ユーザーローカル ChatAI」(以下、ChatAI)の導入を決定した。ここでは、当社における導入の背景から、導入から半年で大きな効果を出しているというChatAIの活用術、さらには今後の展望までお話を伺っていく。
導入背景
適切な業務サポートに加えて、業務の創造性を高めるツールとしての期待も
セキュリティ面、生成AI技術の信頼性と多彩な機能、そしてコストを抑えることができる点からChatAI導入を即決
まずはChatAI導入の背景について取締役常務執行役員 技術本部長 兼 事業統括・森氏にお話を伺っていく。「生成AIは、業界を問わず業務サポート面、さらには創造性を高めてくれるツールとして、テキスト生成からプログラム生成といった分野まで、使える範囲が相当に広いのではと考えていました。ただ導入にあたっては、生成AIは情報漏洩などのセキュリティ面のリスクを伴うこともありましたので、何よりも安全性が高いツールを求めていました。技術本部で選定を進める中で、セキュリティと生成AI技術の面での信頼の高さ、そして業務効率化を実現できる機能性を決め手に、ユーザーローカル社のChatAIの導入を決定いたしました」。
社内ルールを作ったうえで“まずは徹底的に使ってみること”から始めて、徐々にレベルの高い活用をしていくというスタンスで、技術本部の三上氏が中心となり進めていき、トライアルを経て2024年1月に本格実装に至る。
「私は日ごろから展示会に参加したり、新ツールを紹介するメルマガなどに目を通したりしていて。生成AIは社会的にも話題にもなっていましたので、最近は生成AI関連の情報は多かったですね。生成AIに関するツールを見比べる中で、ChatAIはユーザーごとのセキュリティ設定が不要で、また管理画面が感覚的に活用でき非常に好印象でした。また性能面も非常に充実しており、導入コストも非常に安価だったのも決め手のひとつとなりました」と三上氏。
まずは、社員に向けて説明会を実施しながら希望者を募り、機能紹介などを交えた説明会を複数回実施。5月には新入社員に向けた説明会も行ったという。説明会では社内活用における利用規約と、ChatAIの特長と利用方法、活用のコツ、特にプロンプトの重要性なども紹介。説明会以外にも、希望者に対して、ハンズオンセミナーも実施。
「リテラシーが低いまま使っても、うまく使えないままになってしまうので、セキュリティ面のガイドラインと、上手に活用するためのプロンプトなどの説明についてはしっかりと伝えています。」とは三上氏。こうして社内でのChatAIの情報を発信しながら、技術本部を中心に活用を深めていくことに。
では、当社におけるChatAIの活用方法とは――?
活用方法
自由記述アンケートの要約や分類、プログラムコードの作成など、短時間でより確度の高い回答を導き出すためのプロンプトの創意工夫とChatAI活用術に迫る
アンケートの自由記述など意見の要約や整理、コンセプト、ビジョンなどのアイデア出しなどに活用しているというのは地域事業戦略部の堀部氏だ。「社内アンケート調査を実施することも多いのですがその際に、自由記述意見の要約、カテゴリー分けなどにChatAIがたいへん役立っています。こうした意見のとりまとめ作業は、かつてはひとつひとつエクセルに入力し、星取表を制作作成して集計をひとつひとつ目視で確認する手間がかかって手作業で行うのがわずらわしく社外発注をしていたのですが、ChatAIでは全体の意見を拾ったうえで適切な文字数に要約し、またカテゴリー分類もしてくれるのでとにかく楽になりました」という。
こうした要約やカテゴリーの分類には創意工夫が必要ともいう。「同じプロンプトで生成するたびに回答が変わるので、何度か回して、自分が求めている回答に近いものを選択しつつ、プロンプトを調整するなどの工夫も必要だと感じました」。その一方で「自社で手軽に素早く分類作業が可能になったことで、別視点を交えながら回答を取りまとめることができ、しかもアンケートの内容と向き合えるようになりました。ChatAIでは、プロンプトで気軽に質問しながら一緒にアイデアを模索できるので、新しい“相棒”ができたような感覚があります」と大きな手ごたえも感じているという。
あなたは多数の業務改善や経営戦略立案に精通した経営コンサルタント
建設コンサルタント会社の都市計画・まちづくり部門における現在の強み・弱みに関する意見を収集したため、今後10年先の経営ビジョンを立案するために意見のカテゴリー分けを行いたい。
以下の各意見の内容にふさわしいカテゴリーを提案し、一覧表形式で整理してください。
意見の抜け落ちがないようにすること。「その他」というカテゴリーを設けないこと。
収集したアンケートをコピー&ペースト
プログラムコードの作成やエクセルによる数値解析解析シミュレーションなどを行う際に活用しているというのは地盤技術グループ技師の森本氏。
「数年前、大学の研究活動でプログラミングをしていた際、リリース当初のChatGPTを使用してみたものの情報の精度が今ほど良くなく、お世辞にも便利なツールだとは思わなかったです。しかし、入社してみてこのChatAIを使ってみたところ、使用感と精度が向上していて正直驚きました。例えばプログラムで使用する関数プログラムコードをChatAIで調べるとことで、複数のサンプルとともに出してくれます。サンプルコードに対しては状況に応じた要求を追記して改善していくこともできますし、仮データに対して処理過程と結果を出力させることで情報の確度を高めています。サンプルは一定の条件のもとで順番に出すことができ、それぞれに仮の数値を入れて出力まで出したうえで、正確な数値を導き出せたものを採用しています」と森本氏。
「もちろん、最終チェックはしっかりと行いますが、ChatAIを用いることで広い視野でコード作成ができるようになりChatAIではプログラムの可能性を広く示し、複数のAIモデルによる挙動確認で正確性を高めることが可能なので、コード作成→エラーチェック→修正という一連の作業を効率化することができました複数の言語モデルなどパターンごとにサンプルから数値出力までが可能なので、手元のソフトで入力してチェックする手間が省けました」という。
ChatAIを活用するうえで、プロンプトがとても重要性と語る森本氏。「プロンプトを作成する際には“自分が今どんな作業をしているのか”という説明と“何をしたいのか”という目的を明記し、詳細条件や前提条件、出力形式など、具体的に質問することを心がけています。そのうえで、ChatAIが出した回答を一つのアイデアとしてとらえて、気になったことは質問を繰り返していくことが活用のポイントだと感じています」という。
森本氏は「私の場合は、回答をできる限り自分の意図したものとするため、直前の回答にフィードバックするようにしています。回答が自分の意図に沿っているかどうかも改めてプロンプトで確認するようにしています。例えば、ChatAIの回答を受けて“期待する回答でした。もう少し深堀していきます”と書いたうえで質問を重ねていく。そうすることで、次の回答の確度が高いものになっていくと感じています」と具体的で簡潔な質問でコミュニケーションを重ねることで、より的確な回答を導き出すことに繋がっているための学習に繋がると感じているそうだ。
こうした適切な学習能力はChatAIの強みのひとつだ。三上氏は「ChatAIを上手く使えるかどうかはプロンプトを上手に工夫できているかどうか(=コミュニケーション能力)が大事だと思っています。WEB検索では言葉の意味を調べることに留まりますが、ChatAIではコミュニケーションを深めることでより、こちらが求める的確な回答が得られ、検索だけでは得られない情報やアイデア出しの気づきを得られることができる…それこそが何よりも大きな魅力であり強みではないでしょうか」と語る。
効果・成果
これまで外注していた手作業だったアンケート自由記述意見の分類作業業務では、作業時間・工数が3分の2に
外注コストも削減し、さらにアイデアや発想の気づきを与えてくれる“ビジネスパートナー”としての存在に
テキストの要約やメール文面の添削、意見整理といった活用方法などの社内周知に加えて、細やかな活用方法などを説明するChatAI説明会の実施によって、利用者は当初の希望者100名からすぐさま150名越へと増えChatAIの利用率は向上し続けているという。堀部氏は「アンケート自由記述意見の分類という業務作業はChatAIの導入によって自動分類が可能に。業務時間・工数が全体で3分の2ほどに削減できたうえ、コスト削減もできました。プロンプトをさらに使いこなせるようになれば、時間・工数とも半減できると見込んでいます」と笑顔を見せる。
森本氏も「自分では気づかない発想や思い付き、視点という部分でアイデアをもらえるところがChatAIを活用する大きなメリットです。複数のアイデアパターンが必要な際、短時間でアイデア案が生成されるので、そうした時間的な労力を考える必要がなくなりました」と語り、これまでと比較すると体感で1/2近くにまで作業が軽減されているとも。
三上氏は「効率化に加えて業務のクオリティ向上につながっているのが大きな効果だと感じています。現在、多くの社員は、テキストの添削やプログラムの生成や修正などで活用しており、社員全体の底上げにもつながりはじめていると感じています。最近では、議事録の要旨をまとめたり、弊社社長の挨拶をChatAIで要約したりするなど、さまざまなシーンでの活用が広がりつつありあます」と作業効率に加えて、使用幅の広がりにも言及。
今後に向けて、森本氏は「ChatAIを上手く使えるかどうかいかにうまく使えるかどうかは、使う側の創意工夫にかかっていると感じています。プロンプトの書き方は、まだまだ洗練できる部分があるので、さらに活用を深めることで、業務のスピードも質も高めていけると考えています」と語る。三上氏は「さらに多くの社員が生成AIを使いこなせるように、利用提案、機能の勉強会や活用事例の共有などを続けたいですね。新入社員のみなさんは特に興味を持っているのですが、幅広い年代の社員にどんどん使っていただきたいです。まだまだ管理部門やバックオフィスで、活用できるところはあると考えています」と、さらなる利用者の増加を目指す。
最後に、三上氏に展望を伺うと「堀部、森本のように深く活用しながら情報共有・情報発信し、社内認知を広げてくれる社員も増えてきて、またそれぞれに想像力を生かして活用してくれているので、導入してよかったと感じています。プロンプトが悪いと真っ当な回答が戻ってこないというのは、人間と同じですよね。そうした意味では、かつてのような機械言語ではなく、会話でやり取りをすることで回答を得ることができるChatAIは仕事をクリエイティブに遂行するためのパートナーのような存在になりうると感じています。そのためには使う側の質も問われるのではないでしょうか。将来的には、自治体や公共団体からの企画案件に対して、弊社であればどのような提案ができるか? といった私たちの業界に特化した活用も見据えていきたい、そう感じています」とさらなる活用を深めるべく思いを語ってくださった。
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