年間1,000時間削減を見込む経理・財務部ChatAI活用方法を公開
”使用目的がはっきりすると使ってもらえる”実務に沿ったプロンプト作成と用途の明確化により実現したユーザー拡大
日本郵政グループの中核企業として、郵便業務、金融窓口事業、保険窓口事業、国内・国際物流業などを営む『日本郵便株式会社』(以下、日本郵便)。郵便事業が創業した1871年以来、150年以上にわたり日本の郵便インフラを支え、多岐にわたる郵便関連サービスを通じて地域社会に貢献してきた。同社は現在、日本全国に約24,000局の郵便局を持ち、地域に根ざした安心・信頼の多彩な郵便サービスを提供し続けている。
こうした全国規模の郵便局ネットワークとデジタル技術を融合した新たな価値創造を目指す中で、社内のDX推進にも注力している。特にBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)プロジェクトを推進する経理・財務部では、数々のデジタルツールを導入し業務効率化を進めている。こうした背景の中で、生成AIを活用した業務改革を目指して2024年に「ユーザーローカル ChatAI」(以下、ChatAI)を導入。ここでは、導入プロセスにおける同社の工夫や、生成AI活用促進のための具体的な取り組みなどを伺っていく。

主任 美素 伸光 氏
主任 桑村 英実 氏
導入背景
トライアルを通じて生成AIの社内理解を深めつつ、費用対効果も評価
セキュリティ面の信頼性、運用面の使いやすさも決め手となりChatAIの導入を決定
BPRプロジェクトを推進する経理・財務部では業務効率化を目指し生成AIの導入を慎重に検討してきた。美素氏は「当グループでは、すでにユーザーローカル社のサービスの導入実績があるなかで、2024年にChatAIのセミナーへ参加しました。経理・財務部の業務に限定しても、各種契約書や税務関連の書類のチェックや作成、議事録の取りまとめなどさまざまなシーンで活用できると考え、2024年7月にトライアル導入をしました」と経緯を語る。

生成AIツールの導入においては、送信したデータが学習されてしまう懸念などセキュリティに課題を抱えることも少なくない。だが、すでにグループ内でユーザーローカル社のサポートチャットボットを導入している実績もあり、スムーズにChatAIの導入を進めることができたという。
トライアル期間では、BPRプロジェクトメンバー10名ほどを中心にChatAIの利用をスタート。「まずは利用を希望する80名弱の社員にアカウントを付与しつつ、併せて生成AIについての説明会を毎週開催することで、社内での活用促進を図りました。トライアルの段階で、生成AIでどのような業務効率化が可能になり、どういった成果や効果が期待できるかを、プロジェクトメンバーと意見交換しながら活用方法の検討を重ねました。さらに、ユーザーローカル社の協力のもとワークショップを開催し、ChatAIへの理解を深めていきました」(美素氏)

また、ChatAIの使用感について、桑村氏は「デジタルツールに対して不慣れな私でも直感的に使える操作性で、説明書がなくても扱えるのは大きな魅力です。トライアルの段階で誰もが運用しやすい快適さだと感じました」という。

活用方法
"使用目的がはっきりすると使ってもらえる"プロンプトテンプレートとカスタムチャットを活用したChatAIの社内浸透
議事録作成から決算書分析など、経理・財務部特有の業務効率化まで
2024年10月に本格導入後は社内周知と活用を促進するためプロンプトのテンプレートを作成。「使用目的がはっきりすると使ってもらえることがわかってきたので、例えば“議事録を要約するテンプレート”などのプロンプトを作成し、プロンプトごとにその精度と活用傾向をチェックしています。ChatAIでは手軽にプロンプト作成が可能ですが、使い慣れていない人にとっては作成のハードルが高いので、より効果的なプロンプトを手軽に作成できるように“プロンプトの前提条件を作成するためのカスタムチャット”も作成し、生成AIを気軽に利用できる施策も展開しています」(美素氏)
経理・財務部特有の活用方法としては、日々頻繁に参照することが多い税務関連や新制度に関する専門用語検索をカスタムチャット及びドキュメント検索機能における共通テンプレートに実装。「ChatAIのカスタムチャット及びドキュメント検索機能における共通テンプレートでは、簡単な指示や参照するドキュメントを指定するだけで、特定の用途に特化したチャットを作成することができます。WEB上で検索するよりも的確に用語を調べることができるので、ユーザーにとっては使い勝手が良いようです」(美素氏)
また、資料作成においてもChatAIを活用しているという。桑村氏によれば「例えば、昨年と今年の決算資料を比較して説明するための原稿案を作成する際、これまでは膨大な時間と工数がかかっていましたが、ドキュメント検索機能を使えば、各期の決算報告書から自動的に年度ごとの特徴や比較分析などをテキスト化することが可能です。実際に手書きで作成したものと照合してみたところ遜色ない精度なうえに、文字数も指定でき、利便性がとても高いですね」と大きな手応えを感じているという。

会議や打ち合わせなどの音声データを議事録化する際にもChatAIを活用している。「別で使っている文字起こしのツールでは、かなり粗い内容が出てくるため、そのまま社内共有できないことがほとんどなのですが、ChatAIで作成したプロンプトを通すことで、議事録としてまとめることができます。自然言語処理能力の高いChatAIだからこそだと思うのですが、すごく頭がいいなという感触です」(美素氏)
ChatAIの日々の運用・管理や、さらなる活用を推進するうえで、利用者の統計データをワンクリックでレポートできるのも大きな魅力だという。桑村氏は「色付きのグラフで誰が見ても把握しやすく、また期間ごとの統計データや利用傾向も一目でわかるので、新たな施策のヒントなど気づきも多いです」と語る。

効果・成果
導入から4か月ほどでユーザー数が急速に拡大
決算資料や議事録作成など、年間で1000時間以上の時間削減を見込む成果に
導入から半年足らずで、すでに決算資料作成や議事録の作成などの効率化が進んでいる。桑村氏は「月次資料作成では毎月1時間程度削減、時間も工数も大幅に要していた年度資料の作成では8時間ほどの削減が可能になっています。資料作成の手間と時間が軽減されたことで、作業ハードルも下がり気持ち的にも楽に取り組めるようになったのも成果だと感じています」という。続けて美素氏は「全体的な成果見込みとしましては、年間で1000時間以上の削減が実現できるのでは、と想定しています」と力強く語る。
また、セミナーや利用率の高いプロンプトの周知を図ることで、ユニークユーザーはトライアル開始から4か月ほどで40%近くにまで上昇していることも大きな成果だ。「実際に使ってみると、便利だと感じてくださる方が多いと思いますし、使い慣れればどんどん使ってもらえると感じています」(美素氏)
今後の展望について伺うと、桑村氏は「経理・財務部では税務リスクチェックの自動化を可能にしたいと考えています。1回あたり2時間程度かかっているリスクチェックが月に100件ほどあるのですが、ChatAIを活用すれば、現状の成果以上の大幅な工数と時間の削減が可能になると見込んでいます」と語る。
美素氏は「税務リスクチェックをはじめ、利用者から寄せられたChatAIの活用案はBPRプロジェクトのメンバーで集約し、メンバーで吟味しながら実現性の高いアイデアはどんどん採用して、さらに活用幅を広げていきたいと考えています。こうした活用幅を広げながら、今後はさらにChatAIのヘビーユーザーを増やすべく、より実務に沿ったプロンプト作成や利用方法の確立を目指した勉強会やワークショップなどを行っていきたいと考えています」と意気込みを語った。
- タイトル: 税務リスク評価と法文による根拠記述
- 依頼者条件: 照会内容に基づき税務リスク評価を求める個人又は企業
- 制作者条件: 法律知識と税務に関する専門知識を持ち、法文を正確に引用できる専門家
- 目的と目標: 記載された文章に対する税務リスクを特定し、適用される法文を根拠として明示すること
- リソース: 該当の法文、税務ガイドライン、および依頼者から提供された照会内容
- 評価基準: 税務リスクが明確に特定され、根拠となる法文が正確に引用されていること
- 明確化の要件:
1. 提供された照会内容を詳細にレビューする
2. 該当する法文を調査し、適用される箇所を特定する
3. 確認した法文をもとに税務リスクの分析を行う
4. 税務リスクの詳細と適用される法文を明確に記載する
5. 全体の内容を再チェックし、誤解や誤りがないか確認する
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