「できない」が「できる」ようになった。幅広い部署で活用されるChatAIは、全社のスマート化に欠かせない存在

「サラダ料理で世界一になる」というビジョンを掲げ、サラダ・総菜類、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品を製造・販売するケンコーマヨネーズ株式会社(以下、ケンコーマヨネーズ)。同社は2035年にありたい姿を想像し、中長期経営計画「KENKO Vision 2035」を策定した。その基本戦略の1つに「スマート化」を据え、AIやRPAを活用した全社的なDXを推進している。

これまでセキュリティ上の懸念から利用が制限されていた生成AIだったが、DX推進を担う部署が主導し、安全な活用を実現するため「ユーザーローカル ChatAI(以下、ChatAI)」を導入した。導入後は、ワークショップや使用状況を可視化したレポートを展開するなどの施策によって活用が広がり、日常業務の効率化はもちろん、専門的な業務の負担軽減や、非エンジニア従業員によるプログラミング開発など、数多くの成果を上げている。ここでは、同社がChatAI導入に至った背景や、現場に浸透させるための工夫、具体的な活用方法と得られた効果などについてお話を伺っていく。

導入背景

追加費用なしでカスタムチャットを作成でき、積極的な効果検証ができる
業務改善だけでなく、従業員の意識改革にもつながるChatAIの費用対効果は高い

ケンコーマヨネーズでは、2024年に理念体系を刷新し、「サラダ料理※で世界一になる」という新たなビジョンを掲げた。その実現に向けた中長期経営計画「KENKO Vision 2035」では「成長戦略」「スマート化」「人材投資」「サステナビリティと社会的責任」という4つの基本戦略が打ち出されている。この「スマート化」を推進する部署として、理念体系を刷新すると同時に新設されたのが「経営企画室 経営戦略部 スマート戦略課」だ。社内のDX推進を図るこの部署は、会社のDX戦略立案からデジタルツールの導入、業務改善支援、従業員のITリテラシー向上など、幅広い役割を担っている。

同部署が設立される以前から、ケンコーマヨネーズの現場では業務効率化の余地が見られていた。全国の工場では、システムから抽出したデータを手作業でExcelに転記し、加工するといった業務が日常的に発生しており、従業員が本来注力すべき付加価値の高い考える業務に取り組むための時間の捻出に課題があった。

「日々、工場の安定稼働を最優先に着実な業務運営を続けてきた結果、製造現場の改善には積極的に取り組めている一方で、Excelでの報告資料作成やシステムへの入力といった事務作業面の改善は、これから伸ばしていける余地が大きいと捉えています。ヒューマンエラーの発生リスクがある手入力の作業をなくし、従業員はより高度な考察力や判断力が求められる業務にシフトしていくべきだと考えています。」と本田氏は語る。

経営企画室 経営戦略部 スマート戦略課 本田 慶太

その中で、ChatGPTをはじめとする生成AIの登場は、業務効率化の新たな可能性として現場の従業員からも注目を集めていた。社内のシステム部には「生成AIは使えないのか」といった問い合わせが寄せられていたという。しかし、会社としてはセキュリティの懸念から、生成AIの活用に踏み切れずにいた。

「会社として競争優位を保つためには、守らなければならない情報が数多くあります。個人情報はもちろんですが、商品の価格や配合といった社外秘のデータは、絶対に守らなくてはなりません」と本田氏が強調するように、食品メーカーにとって配合などの情報は学習に使われてはならない情報であり、漏洩のリスクがある状態で生成AIの使用を許可することができなかった。

そのため、セキュアな環境で使えることが生成AIツールを選定するうえでの絶対条件となった。複数のサービスを比較検討する中で、ChatAIが目に留まったという。導入の決め手となったのは、セキュアな環境で使えることに加え、「カスタムチャット機能」が充実していることだった。

経営企画室 経営戦略部 スマート戦略課 片本 伸治

「管理者側でプロンプトや読み込ませる資料を指定し、特定の役割だけを与えたAIをいくつでも作れる『カスタムチャット』機能は魅力的です。「たとえば、業務改善の相談を生成AIにしたいと思っても、多くの人は『これはExcelの改善の話なのか、Googleスプレッドシートの話なのか』といった前提条件をAIに伝えません。するとAIの回答は、的を射ないものになりがちです。そこで『あなたはExcel改善の専門家です』といった役割をあらかじめ与えたカスタムチャットを作りました。そうすれば、ユーザーは何も意識しなくても、Excelに関する質問をすれば、自ずと質の高い回答が得られます。ChatAIでは追加費用が生じることなく何個でもカスタムチャットを作成できるため、アイデアが湧いたらすぐに立ち上げ、使われないものは消していくという検証を積極的にできました。新たにカスタムチャットを作成するのに費用がかかってしまうと、気軽な仮説検証ができなくなります」と、片本氏はカスタムチャットの魅力を教えてくれた。

また、コスト面もChatAIの導入を決めた理由になったという。福田氏は「Excel操作やプログラム作成の支援といった高度AIが、1人当たり月々数百円という費用で利用できることに驚きました。このコストでこれだけ高いアウトプットが得られるのは、費用対効果が良いと感じます。今では、知識がなくて調べようもなかったことに対して、生成AIを使って調べようという意識が浸透しました。ChatAIは自分たちの手で業務の仕組みを改善できるツールなのだという認識が広がった効果は計り知れません」と語る。

経営企画室 経営戦略部 スマート戦略課 福田 源大

活用方法

利用拡大のきっかけはレポートの定期配信と、幅広い部署が参加したワークショップ
各部署に生成AI活用のリード役が誕生し、日常業務から専門的な業務まで活用されている

ケンコーマヨネーズは当初、100名利用のプランでChatAIの利用を開始した。その後、導入効果を定量的に確認しながらアカウント数を増やしている。まず、定量的な効果を測定するために取り組んだのが、利用状況を可視化したレポートの定期配信だ。

「社内でChatAIの活用が浸透している状況を利用者に伝えるために配信を始めました。利用者数が右肩上がりに増えていることを見せたり、部署別の利用回数をランキング形式で発表したりすることで『もっと活用してみよう』と思ってもらえたらと考えています。」と本田氏は語る。

ChatAIの活用を促すために、定性と定量の面からレポートを配信している

定期配信しているレポートを作成する際には、ChatAIの管理画面を活用している。管理画面からは日々の利用率や社内の具体的な活用方法を確認することができるが、管理画面を定期的に確認することで興味深い活用事例が見つかることも多い。「ケンコーマヨネーズではメニュー開発の部署があり、新しいレシピを作ったら紹介文を書かなくてはいけません。そこで、メニュー名や食材といった情報からレシピ説明文をChatAIで作っている従業員がいました。これは使えると思い、すぐにテンプレート化しましたね」と金坂氏。

経営企画室 経営戦略部 スマート戦略課 金坂 比沙子

また、ケンコーマヨネーズでよく使用される活用方法として「翻訳」がある。「工場で働く外国人労働者向けに、手洗い手順書などの掲示物を多言語対応する必要があります。私たちの工場では日本語以外に英語やベトナム語などの言語に対応する必要があり、現場のニーズに応える形で活用したところ、一気に利用が広まりました。社内の利用状況をリアルタイムで確認して現場の求めるものを把握できるのは、非常に魅力的です」と、管理画面の使い勝手の良さを説明する。

さらに、利用拡大の大きなきっかけとなったのが、各部署から参加者を募って開催したワークショップだ。 「品質保証や商品開発だけでなく幅広い部署の方々を集め、自分たちが生成AIで解決したい課題を決め、それに用いるプロンプトを考えるという内容のワークショップを実施しました。結果的に、それぞれの部署に生成AI活用に詳しい人が配置されたような形になり、利用が特定の部署に偏ることなく、全社的に増えていきました」と片本氏はその成果を語る。

ワークショップでは各々が実際の業務で使用できるプロンプトを考案した

ChatAIの活用方法は幅広いが、求める回答を的確に得るためには、どのようなプロンプトを入力するかが鍵となる。金坂氏は「プロンプトを作るためにChatAIを活用している人もいます。『あなたはAIです。100%の力を発揮して回答を出すためには、以下のプロンプトに何が足りていないですか』といったように質問し、プロンプトさえもChatAIに作ってもらっていました。この使い方ができれば、生成AIに使い慣れていない人でもうまく活用できると感じました」と気づきを教えてくれた。

効果・成果

知識がない状態からVBAやGASを使えるようになった
ChatAIは自分の力で「できない」を「できる」に変えられるツール

ChatAIの導入効果は単なる時間削減だけでなく、質的な変化を会社にもたらしている。最も業務効率化の効果として表れたのは、VBAやGASによる「プログラミング支援」だ。

「専門のエンジニアが行うまでのものではなく、現場の従業員が自身の業務を改善するために行うプログラミングで業務効率化を実現できています。以前は自力で効率化しようとすると、エラーの解決に膨大な時間がかかっていました。それがAIに聞けば、バグの修正などは一瞬で終わります」と本田氏はその効果を語る。

実際に本田氏もGASの知識がなかった状態から、アンケート集計で追加回答があった際に自動でメール通知が届く仕組みを構築できたという。

また、ChatAIは従業員の「心理的ストレスの軽減」にも貢献した。その事例として、品質保証における活用がある。商品のパッケージ裏に記載する原材料表示は、関連法規をすべて確認し、正確に作成しなければならない。「これまでは担当者が膨大な量の法的根拠を調べ、何度も確認を重ねていました。現在では、AIの回答と自分の調査結果が合っているか、自分が探しきれていない法律がないかなどを確認し、判断のサポート役として活用しています」と金坂氏は説明する。

ケンコーマヨネーズのPickupプロンプト
正確な食品表示を記載するためのプロンプト
担当者の知見と生成AIによるサポートで業務を効率化し、確認作業の負担軽減などにもつなげている

他にも、ChatAIはこれまで「できなかったこと」を「できること」に変えるきっかけにもなっている。「社内の利用履歴を見ると、Excelの関数を調べているケースが多くあります。ケンコーマヨネーズでは売上などの社内報告用の資料を作成することが多く、その際に転記を効率化する方法や、今さら人に聞けないような関数の使い方をChatAIに聞いています。また、昔からあるマクロやVBAの仕組みがブラックボックス化し、うまく動かなくなって手が付けられない状態になっていました。しかし、ChatAIに問題の解決方法を聞いたことで、また使えるようになりました」と福田氏は語る。

100名のアカウントから利用を開始したケンコーマヨネーズでは、現在の利用アカウント数が400近くまで増加した。同社は今後、この流れをさらに加速させていく考えだ。「まずは、まだChatAIを利用できていない従業員にも展開し、全従業員が使える環境を整えたいです。将来的にはグループ各社へも展開し、最終的には、全従業員がChatAIを当たり前に使いこなしている環境を目指していきたいです」と本田氏は見据えている。

※「サラダ料理」はケンコーマヨネーズ株式会社の登録商標です。

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