議事録作成工数が従来の3分の1に、
教材作成や作文添削など教育業界特有の業務でも大活躍
京進が実現したChatAIの段階的導入と成果

創業から50周年を迎えた株式会社京進(以下、京進)は、学習塾や英会話教室などの教育サービスに加え、介護や保育などの福祉サービスを展開している。「ステキな大人が増える未来を作る」というグループビジョンのもと、学習支援にとどまらず、人生のさまざまなフィールドに寄り添いながら支援するサービスを提供している。
同社では2023年11月から「ユーザーローカルChatAI」(以下、ChatAI)を試験導入し、業務効率化や生産性向上に取り組んでいる。今回は同社の山本氏に、ChatAI導入の背景から現在の活用状況、今後の展望についてお話を伺っていく。

山本 宗孝 氏
導入背景
生成AI環境の自社構築を検討するもコストの高さが課題に
信頼性と費用対効果を重視し、ChatAIの導入を決定
近年、教育分野でもデジタル化が加速する中、京進も新たなテクノロジーの活用を積極的に検討してきた。生成AIについて、山本氏は「コロナ禍が落ち着き社内のデジタル化が進むなか、ChatGPTなどの生成AIが話題になり、教育ビジネスにも大きなインパクトを与えるのではないかと考えました」と振り返る。しかし、社内で活用を推進するには、AIが生成する内容の信頼性やファクトチェックなどの懸念も当初から認識していた。
「まずはグループ内の業務効率化に使えないか研究し、最終的にはお客様へのサービスにつなげられないかと社内で議論していました」と山本氏は語る。検討を進めるにあたり、生成AIに関するセミナーに参加するなど、生成AIがもたらす影響について積極的に情報収集を行った。その結果、社長も含めた経営層との議論が活発化し、まずは社員がプライベートのアカウントでも使える生成AIの正しい使い方についてのガイドラインを策定したという。
会社の機密情報や個人情報は非常に重要なため、入力した内容を学習させないような環境を作れないかと考え、当初は「Microsoft Azure」を使って社内環境を構築することも検討していたが、構築の手間や費用面などの課題がクリアできなかったという。そのような中、同社ではすでにユーザーローカル社のチャットボットを導入していた経緯があり、同社が提供を開始したChatAIに注目した。「会社の信頼性や過去の取引実績もあり、依頼することには安心感がありました。また、セキュアな環境で生成AIを活用できる点は大きな魅力でした」と山本氏は語る。他社サービスとの比較検討も行ったが、費用対効果の面でもChatAIは非常に優れていたという。
活用方法
スモールスタートから始めた段階的なChatAI展開
基本業務から教材作成まで、教育業界特有の活用も
ChatAIの導入にあたっては、スモールスタートで導入を進めていった。山本氏は「将来的には抜本的な業務改革や生成AIを活用した顧客サービスの展開を見据えていますが、まずは事業部門の本部機能やバックエンドを担う部署が使いこなせるようになることが重要だと考えました」と話す。
そこで、まずは影響力の大きい主要なメンバーが生成AIでどんなことができるのかを体験してもらうことを目指し、興味のある10名ほどの社員で利用を開始。彼らの体験や感想をもとに、スタッフ部門や事業部門の本部機能を担当する社員へと徐々に展開していった。「上司からの指示ではなく、感度の高い社員を選んで自発的に使ってもらったことが、結果として良かったのではないか」と山本氏は振り返る。
2024年12月時点では約120名がChatAIを使用するまでに拡大。さらに部門の課長や部員にも展開するほか、現在では部長以上と課長クラスを対象とした研修も実施している。山本氏によると、同社社長の立木氏も『人間がしなくてもいいことは自動化し、人間しかできないことに時間を活用する方向にシフトしていこう』という方針を示していることも後押しになり、情報システム部を中心としたChatAI活用のさらなる推進に繋がった。
社内でChatAIの利用が進むなかで、利用者たちは議事録作成や要約などの基本的な用途以外にも、教材作成、テスト問題作成、作文添削など教育サービス特有の業務まで、幅広い用途でChatAIを活用した。こうした活用事例を社内で共有しながら徐々に利用者を増やしていった。
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日本語で提示された課題について模範解答を作成してください。
書き出しの英文が指示されている場合があります。
その場合は必ず書き出しの英文から書き始めること。
それぞれの解答例には、英文作成のポイント、コツ、配慮したことを明記してください。
特に日本語を意訳した部分は全て網羅的に記してください。
そのほかにも、メール文案作成、Excel関数の記述、eラーニング実施後のアンケート分析といった社内業務での活用方法も出てきている。具体的には、社内でのeラーニング実施後に「研修の内容が業務に使えそうですか」「どういったことに気をつけて研修をブラッシュアップしたらいいですか」といったアンケートへの自由記述の回答を分析する際にChatAIを活用している。「定量的なデータは従来から素早く集計できていましたが、自由記述などの定性的な分析には多くの時間がかかっていました。ChatAIを使うことで、どんな意見が多かったか、ポジティブ・ネガティブな意見の分類といった分析が簡単にできるようになりました」と山本氏は振り返る。
効果・成果
ChatAI活用で議事録の客観性が向上し、作成時間も3分の1に
マネージャー層の心理的負担の軽減にも貢献
ChatAI導入後の効果として最も大きいのは、議事録作成の時間短縮だという。「経営会議などの幹部が集まる重要な会議の議事録作成は、各部署の担当者にとって負担が大きいものでした」と山本氏は説明する。実際に議事録作成にかかる時間は3時間から1時間ほどに短縮されたという。
単純な業務効率化のメリットだけでなく、想像していなかったようなメリットもあったという。「私も少し驚いたのですが、AIによる議事録作成は通常の議事録よりも客観性という観点において優れており、誰が何を言ったのかという部分に配慮するような時間が短くなりましたね」と山本氏は語る。人間がまとめると作成者の主観が入ってしまうが、AIはデータに基づいて客観的にまとめてくれるため、今までよりも議事録が作成しやすくなったという。
また、定量的には測りにくいが、ChatAIを導入した大きな効果として、山本氏は「時間内に収めるための効率化」を挙げた。京進では定期的に全社員が集まる職員会議が開催されているが、その際に管理職がスピーチをする機会があるという。「それぞれの持ち時間は1分で設定されているのですが、最近ではChatAIを活用してスピーチの内容を簡潔にまとめるのに使っている人も多いですね。社内報に掲載するコメントを300字以内でくださいと広報担当から依頼された際にもChatAIを活用して大きな時間短縮にもつながっています。"ChatAIがあるおかげで自分の話したい内容を簡単に整理できるので、文章の作成依頼が来ても、負担に感じなくなった"という声も複数の管理職から聞いています」(山本氏)
このように定量・定性両面での効果が確認されるなかで、山本氏はChatAIの継続的な進化についても高く評価している「生成AIを取り巻く環境は絶えず変化していますが、ユーザーローカルはすぐにそれらの変化にキャッチアップし、新しい機能をどんどん追加してくれています。ユーザーも自ら新機能を発見して使いこなしていて、"音声アプリが使えるようになりましたね"と逆に部下から新機能について教えてもらったこともあります。サービスとしての使いやすさも素晴らしいですね」(山本氏)
今後について、山本氏は「社内で導入を進めていくには、具体的な事例を社員全員で共有していくことが重要です。次のステップとして、社内でChatAIを活用している社員が、実際にどういうプロンプトを活用し、どのような成果を出したのかを一人ひとりが発表する事例共有会を開催したいと考えています」と笑顔で語った。
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