資料の翻訳・要約作業がわずか1分に短縮
月1メルマガ施策で実現した生成AI活用の社内浸透
半導体や集積回路などの電子デバイスを扱うエレクトロニクス商社の『ミカサ商事株式会社』(以下、ミカサ商事)。近年はデバイスソリューションに加え、セキュリティカメラや協働ロボットなど、ソフトウェア開発を含めたシステムソリューションも提供。さらに、文教事業として教育現場へのChromebookの導入支援も実施しており、GIGAスクール構想に貢献している。
グローバルな事業を展開する同社では、社内での業務効率化にも取り組み、時代の流れに遅れを取らないために生成AIの活用に踏み切った。ここでは、「ユーザーローカル ChatAI」(以下、ChatAI)導入の背景や活用方法などについてお話を伺っていく。

営業管理部
吉川 満邦 氏
導入背景
トライアル後も82%の社員が継続利用を希望
コストメリットと管理画面の使いやすさが導入の決め手に
名刺管理システムや商談管理システムなど、社内業務の効率化を図るためにDXを進めていたミカサ商事では、2023年の末頃から世間の動きを捉え、「生成AIも活用して業務効率化するべきだ」との声があがった。そこで、吉川氏が所属する部署が主導となり、生産性を高めるツールの検討が始まった。
「時代の流れから生成AIを導入するのは必然だったと感じています。もともとユーザーローカルさんのUser Insightを利用しており、その関係でChatAIも紹介していただきました」と吉川氏はChatAIを知ったきっかけを振り返る。
ChatAI導入時にはトライアルを実施し、約82%の社員が”安心感”と”利便性”を感じて継続利用を希望した。「ChatAIは入力した情報を学習されないセキュアな環境で利用でき、ミカサ商事で採用しているシングルサインオンにも対応しているので安心して使えます。また、資料などのファイルを読み込ませるだけで翻訳ができる便利さも社員から高い評価を得たポイントでした」と吉川氏は語る。

現場での高い評価に加え、管理側の吉川氏もChatAIに対して”コスト面”と”管理画面”があることについて魅力を感じていた。「弊社では、他社の法人向け生成AIサービスも無料でトライアルを実施しました。そちらはユーザー数単位で契約し、1ユーザーあたり月額数千円かかりますが、ChatAIを導入する方がコストを圧倒的に抑えられましたので導入への動き出しがスムーズでした。また、実際に使ってみると、トライアルで利用した他社にはない管理画面があり、便利さを感じました。会社としてツールを導入するからには、費用対効果を意識しなくてはいけません。管理画面でどれだけの社員が使っているのかを把握できるのは嬉しいポイントです」と吉川氏は評価している。
活用方法
月1の社内メルマガで利用回数が倍増
予想を超える翻訳用途のニーズ、グローバルなバックグラウンドを持つ社員の心強い味方に
今でこそChatAIが浸透しているミカサ商事だが、導入当初は利用回数が伸びずに悩んでいたという。そこで吉川氏は、2024年6月から月に1回のメールマガジンを配信することにしたそうだ。すると、導入直後の4月と5月の利用回数は1,500回前後だったのに対し、メールマガジンを配信した6月には3,000回を記録し、以降も高い利用回数が続いた。

管理画面では、社員の利用状況をモニタリングができる。1日ごとの利用回数や時間帯別の利用状況まで把握でき、メールマガジン配信直後の時間帯に利用回数が急増する様子も確認できたそうだ。

メールマガジンでは基本的な使い方から、機能の追加情報、活用事例などを紹介している。難しい内容ではなく、誰もが理解できる内容を心がけ、特定の部署や役職に限定せず、全社員に広く伝わるように配慮した結果、幅広い社員の活用につながった。「最初のメールマガジンでは、ログイン方法や質問の入力方法などを共有していました。その後は『ChatAIにお知らせ機能ができたので最新の情報はこちらから確認してください』といった追加機能などを配信しています。また、季節の話題や時事ネタを盛り込むと、メールへの返信をもらえる事もあります」と吉川氏は語る。
メールマガジン自体もChatAIを活用して作成しているそうだ。HTMLコードをChatAIに生成させ、それをもとにデザイン性の高いメールマガジンを効率的に配信している。HTMLメールの作成経験がなかったという吉川氏は「他部署の人が協働ロボットを動かすプログラムをChatAIで作っていると聞き、HTMLコードも生成できるのではと思いました。実際に『HTMLメールのコードを作成してほしい』とお願いしたら、簡単にコードを生成してくれました。これを利用して毎月のメールマガジンを作成しています。簡単に色などをカスタマイズでき、とても助かっています」と吉川氏はアイデアの着想を語る。
-文頭に画像を1つ挿入
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ミカサ商事では現場でもChatAIを積極的に活用しており、翻訳や要約、文章作成・校正、情報収集などの用途で使われることが多い。実は、導入当初に「ChatAIを使わなくても別の翻訳ツールがあるから必要ないだろう」と思っていたが、いざ利用状況を見てみると翻訳としての利用が多かったのは、意外な展開だったという。「当初は、翻訳用途での活用を想定していませんでした。しかし、運用開始後に翻訳の有用性に気づき、導入後のアンケートに「翻訳」の項目を追加したところ、予想以上に多くの社員が翻訳機能を活用していることが判明しました。」と吉川氏は振り返る。導入前後で用途のギャップが起きるケースは多く、定期的な調査はニーズと実態の把握に効果的だ。

ミカサ商事にはグローバルなバックグラウンドを持つ社員が在籍しており、ChatAIは日本語コミュニケーションのサポートにも一役買っている。グローバルなバックグラウンドを持つ社員が日本語に自信のないメールを作成する際には、ChatAIに下書きし、綺麗な日本語に整えてもらい、メールに貼り付けて送信するという使い方が定着した。吉川氏は「管理画面を見ると、グローバルなバックグラウンドを持つ社員の利用回数が上位にあるケースも多いですね」と社内の利用状況を語った。
また、ChatAIは情報収集にも積極的に活用されている。従来の検索エンジンの代わりとして、業界動向や市場トレンドの調査に役立てているのだ。例えば「日本の自動車メーカー10社をピックアップして」といった情報を得る質問や「自社としてどのようなアプローチをすべきか」といった戦略的な質問なども聞くという。「検索エンジンで調べるのと同じような感覚で検索したり情報収集したりできますが、ChatAIの方が圧倒的に早く答えを得られます。複数のソースから情報を集めてくれるので、これまでの検索エンジンとは一線を画していますし、そのまま要約などもできるのは非常に便利です」と吉川氏は評価した。
効果・成果
丸1日かかる事のある外国語資料の翻訳・要約がわずか1分で完了
社内調査やナレッジ収集で新たな活用方法の発掘に期待
海外企業との取引が多いミカサ商事では、英語や中国語など外国語で書かれた資料の翻訳・要約にChatAIが活躍しているという。以前は翻訳ツールに文章をひたすらコピーしていたが、PDFからの文字抽出が難しい場面や、直訳のため業務として活用できない場面もあった。ChatAIではPDFファイルをそのままアップロードするだけで翻訳と要約を同時に行い、ビジネス用語にも適応している。「海外メーカーの20〜30ページにわたるPDF資料をアップロードすると、丸1日かかる事のあった翻訳・要約作業が1分程度で完了します。さらに、どのページに何が書いてあるのかまで引用してくれるので、正確な理解に役立っています」と吉川氏は語った。

資料の翻訳・要約は特に若手社員や部署異動したばかりの社員にとって大きな助けとなっている。事前知識がなく、ゼロから外国語で書かれた資料を理解していくには相当な時間を要するが、ChatAIを活用すればすぐに概要を把握できる。場合によっては資料の内容を効率的に理解して先輩社員と対等な会話ができるようになり、事前準備の時間を大幅に削減できるのだ。
定期的に実施している満足度調査の結果も良好だ。「生成AIは役に立つか」という質問に対して136人が「役に立っている」と回答している。今後の展開について、吉川氏は継続的な改善と新たな活用方法を見出すことを考えている。「半年ごとのアンケートを継続して利用状況を把握し、『登録しているのに使ったことがない』という社員には、その原因を見つけて改善していきたいですね」と吉川氏は語った。
さらに、セミナーへの参加や他社事例のナレッジ収集にも取り組んでいく考えだ。吉川氏は「私が思いついた活用方法以上のものがあるかもしれません。実際、導入前は画像生成や音声アップロードができませんでしたが、ChatAIはアップデートがとても早いのですぐにどちらの機能も追加されました。使用できる大規模言語モデルもChatGPTだけでなく、ClaudeやGeminiも使え、モデルのアップデートもされています。今後も積極的に情報収集して、『実はこのような使い方もできます』と社内に展開していきたいですね」とChatAIのさらなる活用を見据えている。
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