90%以上のユーザーが「業務の質の向上」を実感
月間約1,965時間の業務時間を削減した産業機械メーカーの生成AI活用

スプレーガンやロボットなどの塗装機器、コンプレッサ、真空ポンプの製造・販売において世界的なシェアを誇る『アネスト岩田株式会社』(以下、同社)。1926年の創業以来、「誠心(まことのこころ)」を社是に掲げ、最先端の技術で製品を世界中に届けている。

グローバルに事業を展開する同社では、業務の効率化を図るために生成AIの導入に着手していた。しかし、当初導入した製品は使い勝手に課題があり、社員に広く活用してもらえないことが予想された。その状況を打破するために「ユーザーローカル ChatAI」(以下、ChatAI)の導入を決めた。同社では、生成AIの利用にあたって独自の承認フローや試験を設定するなど、厳格な管理体制を構築。この徹底した教育と管理が、安心して生成AIを使える環境を生み出した。

現在では多岐にわたる業務で活用が進み、月間最大約1,965時間も業務時間削減効果を得るまでに至っている。ここでは、同社におけるChatAI導入の背景や浸透施策、現場で起きた変化などについてお話を伺っていく。

アネスト岩田株式会社
情報システム部 システム開発グループ DX推進支援チーム
西田 武司 氏
松尾 美鈴 氏
竹内 啓彰 氏

導入背景

他社製品から切り替えChatAIを導入
機能が多彩でサポートも手厚く、固定料金のため安心して活用できる

同社における生成AI活用は、ChatGPTが世間で話題となり始めた2023年頃に遡る。「新しい技術に触れ、その可能性を検証する」という目的のもと、生成AIのトライアル環境を整えた。しかし、運用開始後に「コスト」と「精度」といった課題に直面することとなる。

当時の環境は従量課金制であったため、使えば使うほどコストが膨らむ仕組みになっていた。また、機能面では利用できるモデルがGPT-3.5に限られており、現在では一般的なRAG機能も実装されていなかった。西田氏は「文章作成や情報収集など、生成AIを業務に活用できる可能性は感じていました。しかし、使いづらさが先行してしまい、このまま全社展開しても社内への浸透が進まないと感じました」と振り返る。

アネスト岩田株式会社
情報システム部 システム開発グループ DX推進支援チーム 西田 武司 氏

そこで生成AIツール自体を見直し、ChatAIを含む複数のSaaSサービスを比較検討した。最終的にコストや操作性、手厚いサービスなどに魅力を感じ、ChatAIの導入を決定した。

ChatAIは利用量に関わらず定額で利用できる固定料金制だ。「ChatAIは安価な定額制であり、どれだけ使っても追加料金が発生しません。AIモデルのアップデートは早いですし、回答精度の高さも魅力的でした」と松尾氏は教えてくれた。

実際にChatAIを利用したユーザーからは「使いやすさ」に関する評価が高かった。導入検討時、すでにChatAIはChatGPTなどの最新モデルに対応しており、課題だったRAG機能も標準搭載されていた。何より、直感的でシンプルなUIは、利用者にも抵抗なく使えるものだったという。「ChatAIは誰でもすぐに使いこなせるデザインでした。最新モデルによる回答精度の高さと、RAGによる社内データ連携の手軽さを目の当たりにしたときは、革命的だと感じました」と竹内氏は語る。

アネスト岩田株式会社
情報システム部 システム開発グループ DX推進支援チーム 竹内 啓彰 氏

さらに、導入後の「サポート体制」もChatAI導入の大きな後押しとなった。無償で提供される生成AI勉強会セミナーは、社内のAIリテラシー向上を目指す同社にとって魅力的だった。実際に同社では、ChatAIを導入後に初級編、応用編の勉強会セミナーを実施し、社内への浸透を図っている。

活用方法

他社事例ではなく、社内の等身大の事例が重要
活用促進のドライバーとなった「事例発表会」

既にPCを利用する社員の80%以上がChatAIを使用している同社だが、浸透を促進した施策の1つに「事例発表会」がある。幅広い ChatAIの活用を促進するため、情報システム部が社内に向けてアンケートをとり、複数の活用事例を紹介した。

そこで発表された事例として、たとえば「SNS運用でフォロワーを増やすための活用」があったという。「同社のXアカウントのフォロワーを増やすために、担当者がChatAIと壁打ちして企画を考えたという発表がありました。プレゼント企画を実施したところ、1,000フォロワー以上を獲得できたそうです」と松尾氏。他にも、音声入力を活用して製品の仕様書を作成したり、資格取得のためのスケジュールを作成したりする事例が発表されたようだ。

アネスト岩田株式会社
事例発表会で共有された活用方法の例

「事例発表会では、あえて活用方法を絞らずに幅広い部署の活用方法を選定しました。ChatAIの汎用性を伝えたかったですし、みんな他部署の使い方を知りたがっていたと思います。最終的に、参加した人たちからは好評の声が多くあがりました」と松尾氏は教えてくれた。

同社では文章作成や情報検索、アイデアの壁打ちなど活用方法は幅広い。特に製品開発のための調査や、原材料の特性理解といった専門性の高い領域で活用されることもあるという。西田氏は「ChatAIで情報を得る場合、自然言語で調べられるのが嬉しいですね。専門性の高い内容をキーワード検索するのは難易度が高く、労力もかかってしまいます」と魅力を教えてくれた。

現在、同社ではGASやマクロのコードを生成させ、業務ツールを自作する社員が増えているという。松尾氏自身も、情報システム部の工数管理用スプレッドシートを改修した。従来は各個人が作業時間を手入力していたが、Googleカレンダーの予定を「作業実績」として自動でシートに反映させる仕組みを自作し、日々の入力の手間を大幅に軽減させた。さらに、ChatAIのアカウント申請に対応する業務を効率化させるため、アカウント付与までの流れで発生するメール文章をワンクリックで生成できる機能を作成したようだ。「通常であれば1回の申請対応に15分ほどかかるところ、1分ほどで対応できるようになりました。」と松尾氏は語ってくれた。

アネスト岩田株式会社
情報システム部 システム開発グループ DX推進支援チーム 松尾 美鈴 氏

グローバル企業である同社には、インドやベトナム、韓国などさまざまな国籍の社員が在籍している。ChatAIは、彼らの業務支援ツールとしても欠かせない存在となっている。竹内氏は「日本語の社内文書やメールを母国語に翻訳して理解したり、逆に母国語で考えた内容を自然なビジネス日本語に変換してメールを作成したりと、言語の壁を越えるために頻繁に利用されています。利用回数を見ても外国籍社員の利用頻度は高く、業務効率化だけでなく、コミュニケーションの円滑化にも大きく貢献しています」と語る。

同社の取り組みから見えてきたのは、AI活用の浸透には他社の事例だけでなく、身近な社員の実践例を共有することが重要だという点だ。同じ職場で働く仲間の「等身大のAI活用例」が何より効果的であり、身近な成功体験が、組織全体の変化を加速させていったに違いない。

効果・成果

月間約1,965時間を削減し、90%以上の利用者が「業務の質向上」を実感
遠い存在だったAIが、ChatAIのおかげで身近なパートナーに

ChatAI導入後は順調に利用率が向上している。導入から約1年後にとったアンケートでは、利用者の約43%が「週に数回」、約42%が「毎日」ChatAIを利用しており、業務に欠かせないツールとして定着している。同アンケートに基づき、削減できた業務時間を試算したところ、その効果は月間最大で約1,965時間に上るという結果が出た。

松尾氏は「文章要約や、文書添削、プログラミング支援、議事録作成、アイデアの壁打ちや創出、情報の検索、翻訳と、幅広い業務で削減効果が実感されていることがわかり、特に情報検索とアイデアの壁打ちと創出、文章添削に関しては、かなりの時間削減効果がみられました。時間削減効果にとどまらず、90%の利用者が『業務の質や精度も向上した』と回答しています」と教えてくれた。同社においてChatAIは、作業効率化ツールにとどまらず、業務の質を高めてくれるパートナーとして機能しているのだ。

アネスト岩田株式会社
約88%の利用者が週に数回以上使用している

ChatAIがもたらした変化について、西田氏は「社内でAIの認知が広がり、着実に浸透してきていると感じます。以前は『AIなんて自分には関係ない遠い技術』だと思われていましたが、今では身近な存在として認識されています」と語る。

確かな手応えを感じている同社だが、視線はすでに次のフェーズに向いている。これまでは情報システム部が主導して普及を進めてきたが、今後はユーザーコミュニティの形成を目指しているという。「事例発表会などは私たちが仕掛けてきましたが、今後はユーザー同士が自発的に利用シーンやプロンプトなどを共有しあい、新しい使い方が自然発生的に生まれてくるような仕組みを作りたいと考えています」と西田氏は構想を語る。

さらに機能面では、「カスタムエージェント」の活用に注力していく予定だ。要件定義書を作成するエージェントや、レビューの基本的なチェック基準を学習させたうえで資料をレビューするエージェントなどの開発を視野に入れている。「単なる時短だけでなく、業務の質そのものを引き上げるパートナーとして、ChatAIをさらに活用していきたいです」と西田氏は期待を込めて語ってくれた。

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ユーザーローカル ChatAI
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